知っておきたい腎臓の機能
尿酸の合成は主に肝臓で行われ、その大部分が腎臓を経て尿中に、残り一部分は消化管から便中に排泄されます。高尿酸血症の原因のうち8割以上に尿酸の排泄低下が関係しています。これについて消化管が問題となることはまずなく、尿酸の排泄低下の原因はもっぱら腎臓の尿酸処理の異常から生じます。このように腎機能の異常は高尿酸血症や痛風の原因となりますが、逆に、痛風腎のように高尿酸血症や痛風の結果として腎臓が侵されることもあり、どちらが原因でどちらが結果か判断に苦しむような例もあります。
ここでは高尿酸血症や痛風を理解するうえで欠かせない腎臓のメカニズムについて考えてみましょう。
体内濃度を調節するネフロン
腎臓は私たちのちょうど腰あたりに左右対称に一対あります。握りこぶしぐらいの大きさで、そら豆のような形をしています。表面から内側に向かって皮質、髄質、腎杯、腎盂などの部分からなっていて、腎動脈、腎静脈、尿管の3つの管が通っています。動脈を通って老廃物や不要な水分を運んできた血液は、糸球体という濾過装置を通る間に浄化され、静脈から心臓に戻ります。濾過された物質は水とともに尿となり、尿管から膀胱へ運ばれて体外に排泄されます。
顕微鏡を使ってさらに細かく腎臓の構造を見てみましょう。丸い玉のような形をした毛細血管からなる糸球体と、それに続く尿細管という部分が一つの構成単位となって集合管に注いでいます。この基本となる構成単位をネフロンといい、腎臓は左右合わせて約200万個のネフロンから出来ています。
ネフロンではまず糸球体で血液の大雑把な濾過を行います。そして、尿細管でその中から必要あるいは再利用すべきと思われるものを再吸収して血液中に戻します。その過程でその再利用される物質の血中濃度の調節が行われ、不要と判断された部分が再び捨てられます。このようにして腎臓はそれぞれの物質が体内に増えすぎたり不足したりするのを防いでいます。
どの段階でどれだけの割合を捨てたり拾ったりするかは、処理される物質によって違ってきます。尿酸についてみると、正常人の場合には血液中を運ばれてきた尿酸は、まず糸球体で100%濾過されます。そして近位尿細管でそのほぼ100%が再吸収され、近位尿細管から遠位尿細管、さらに集合管までの部分で分泌(再排泄)、分泌後再吸収といった複雑な処理が行われ、つまりネフロンを出たり入ったりしながら、結局濾過された尿酸の約10%が尿中に排泄されます。こうしたことが繰り返された結果、1日に尿中に排泄される尿酸の平均的な量が約700mgというわけです。
尿酸の排泄低下が起こるのは、尿細管での分泌(再排泄)が少なすぎるか、尿細管での分泌後再吸収が多すぎるかの2つの場合が考えられています。
以上、述べたような尿酸排泄のメカニズムを知っておくことは、服用する薬や一緒に服用してはいけない薬の意味を理解するうえで重要です。
高尿酸血症の人は痛風患者の5~10倍もいます
白血球が、体の中に侵入した細菌などの異物を食べて排除する働きをしていることは、ご存知だと思います。これは白血球のなかでも多くを占める好中球というものが担当しているのですが、この好中球が何らかのきっかけで関節の内側に結晶化した尿酸(正確には尿酸化ナトリウムの結晶)を異物と認識し、食べ始めます。いったん食べ始めると白血球は攻撃のかたわら応援を求める物質を放出し、それをかぎつけた他の白血球が周りからどんどん加勢に集まり、尿酸結晶との間に戦争が始まります。白血球は、尿酸の結晶の処理をしつつ、自らも戦いに疲れ、分解し、使命を終えます。この分解の過程で局所に炎症反応を起こす物質が放出され、激痛、腫れ、熱感、発赤を伴う関節炎が発症するのです。この時の様子を顕微鏡で見ると、針のような形をした尿酸の結晶を白血球が自らの中に取り込んで溶かそうとしているのがわかります。
酸性過剰あるいは排泄低下で尿酸が増える
突然、激痛が襲う、痛風発作
同じ体質でも生活環境次第です
かなりある民族差
壮年期の男性に発症しやすい
西洋では珍しくなかった痛風